東大寺二月堂はわかりやすく西を向いて建っていて、なら夕日が綺麗なんじゃ!と奈良博が閉まる5時から日没までの2時間ほど待つことにしました。
けれど5時を過ぎた東大寺はみるみるうちに人が散ってゆき、近場の喫茶店も店仕舞いするところばかり。6月の夕方の肌寒さを感じながら、あてもなく東大寺の敷地内をブラブラする。
奈良はまっさらな青空がよく似合う。天平というスカッとした大陸的なイメージがあるからだろうか。
同じく盆地だけど京都は肌にまとわりつく、梅雨の密室的な空気が似合うと思う。
二月堂と三月堂の間を登った所。貯水槽だろうか。こんなとこにまで落書きが…と思うも、文化財の宝庫でここにしか描かないことにむしろ行儀の良さを感じる。
そして国宝・二月堂へ。
二月堂の上には観光客だけでなく、ランニングついでの地元の人達もいる。贅沢だ!
各々が言葉少なに向こうを見つめてて、自分もぼーっと眺めていた。だいぶ人もいなくなった頃に、修学旅行の中学生たちが引率の先生に連れられてやってきた。静かに拝観しろと言われながらも、数十人の抑えきれぬ興奮が伝わってくる。良い先生だなあ、この中の幾人かの中では生涯忘れぬ光景となるんだろうな、と思った。
ちなみに僕の修学旅行の数少ない記憶といえば、京都の狭いホテルの部屋で、友人の食べたピザポテトの濃密な臭いに朝までやられていたことである。チーズ苦手だから本当に辛かった。
国宝で仮眠中。
その後1時間くらい粘って、夕焼けは雲一つないとそれほど朱に染まらない、という気づきを得た。群青色の空も綺麗だけどね…
本格的に日も暮れて、大仏殿の方へ降りていく。
ボーン、ボーン…とどっしりとした梵鐘の音が聞こえてくる。東大寺の1日の終わりを伝える8時の鐘の音のようだ。
奈良公園へ出る。昼間と違い、夜の鹿の気配はちょっとだけ神々しい。ちょっとだけ。
興福寺を通り過ぎ、近鉄で京都駅まで帰る。
近鉄京都駅にあったポスター。京都市が自ら作ったポスター「日本に、京都があってよかった。」と並べて煽りあってほしい。