外出に対する心理的ハードルの高い人と低い人がいる。高い人は本当に心待ちにしているものがある時しか外出しない。しかし、心待ちにしているものの中にも、実際に体験してみると期待通りのものと期待外れのものがある。
期待外れだったとき、期待の分だけ「世界つまんない…」と無駄に大きなダメージを受けてしまう。
一方でハードルの低い人はそれほど心待ちにしていなかったものにも触れることが多い。そしてそれが期待以上なこともある。すると「世界おもしろい…!」と成功体験を積み重ねることができる。
まあ、というわけで家にいても何もせずに1日が終わってしまうな、とクマのパディントン展に見に行ってきたら予想以上に楽しいものが多かった話です。
(そして筆不精でもあるのでこれはもう4ヶ月前の出来事です)
ここはメンタルヘルスについて語り尽くすブログではないので、もう渋谷についています。
ヒカリエは特に何をするところでもないんだけど、それほど混んでいないので緊急避難的に入ると落ち着ける。
11階は展望スポットと高層階オフィスへのエントランスになっている。上はハイテクエンジニアな人達の場所みたいだけど、ハイテクでもエンジニアでもない一般人もここまでは入れる。特別景色の良い場所でもないけど、レゴを積み重ねるかのように再開発しているのをボーっと眺めるには良いかもしれない。
多くの看板が自分の方を向いているので、看板にモテている気分になれる。資本主義ってこわい。
ヒカリエを出て駅の東側を歩く。
食べたい
1975年の超高層ビルはすこし寸胴でまじめな雰囲気。最近は60~70年代のビルを見つけるとちょっと嬉しくなるというブーム。
コーヒーハウスへ。
接客の良し悪しはあまり気にしない方だけど、こちらのお店の接客は大変よくコントロールされていて、距離感もちょうどよく気持ちいいお店でした。
53mmという焦点距離で、のけぞってとった挙げ句ピントが合っていない。プリンのクリームの乗せ方がスイートポテトみたいなポッテリフォルムでかわいかった。
金王八幡宮。カフェを出て程近くになんか神社があるぞ、てぐらいの感じで行ってみたら立派な社殿が。
彫刻も立派で、明治期とかかな…と思ってたら1612年築と伝わっている。同じ権現造りの北野天満宮の国宝の社殿が1607年なのでビックリ。これだけ立派で区指定文化財なので、おそらく修理・改変されてるんだろうけど。
コンクリの柱に木の梁をジョイントしていて面白い。
もともと平安時代に渋谷氏が渋谷城を建てた場所と伝わっていて、それらしくちょっとした高台になっている。
隣に寺が健在なところも大らかな感じがしていい。八幡宮は神仏習合が激しくて、例えば鎌倉の鶴岡八幡宮は江戸時代まで鶴岡八幡宮寺という寺だったらしい。けど、明治期に寺院建築を全部壊して、今ではなかったことかのようにしている。京都の石清水八幡宮もそう。山全体に僧坊や堂宇が建ち並びさぞ壮観だったろうに、それらがあった場所はほぼ自然に還っていて、ガランとしてすこし寂しい感じがする。
道路をはさんで稲荷があるけど、特にゆかりはなく後で移転してきたらしい。
皇紀の文字がこれだけ並ぶと圧倒される。2650年は後で調べると1990年で、バブルも醒めやらぬ中、誰かが太っ腹に祝っていたようだ。
駅の方へ戻る。
京王線を超えて道玄坂の方面へ。
突き当たりに小さな神社がある。
隣接するホテルはちゃっかり景観配慮していて、子孫繁栄という意味でもぴったり。安産祈願・子孫繁栄の神社がホテルを経営すれば儲かるんじゃないかと思った。
これが子狐なら親狐のお腹の突起はお乳なのだろうか。
やっとこさBunkamuraのパディントン展へ。
パディントンはいろんなイラストレーターが描いてるんだけど、初代イラストレーターのペギーフォートナム(この写真)とアイバーウッド(一番有名なやつ。帽子にかぶられてて小西康陽みたい)のイラストが特にかわいくて好きかな。
パディントン展を見た後は嵯峨谷で早めの夕食にそばを食べ、歩いて鍋島松濤公園へ。
明治時代に鍋島家の茶園(松濤園と名付けたのが後の町名に)があったとこらしい。鍋島家って誰ぞやと調べると佐賀の大名で、明治時代に侯爵となって永田町にルネサンス風の豪邸をつくりさらに松濤一帯に広大な土地を持っていたとか。
ずいぶん鮮やかに木々が水面に写ってるな、と思ったらこれ全部沈水性の植物。ボウフラが多そうな池だった。
自分の帰る方向へ路線沿いに歩いて歩行距離を稼ぐということをやっていて、今日は京王井の頭線沿いを歩く。
駒場東大前へと坂道を下りて谷へとほんのり潜っていく感じが好き。
なんか、渋谷の残り香がありつつ誰かの日常風景へと入っていくような。
なぜかおどろおどろしいフォントで威嚇されている。
たしかこの日は4kmくらい先の下北沢まで歩いた。こちらも大きな工事中で駅の入り口がわかりづらく半分迷ってた。一つ前の駅で乗ればよかったと軽く思いながらも、ヘルスケアアプリの歩行距離を見てホクホクしてた。
最寄り駅まで戻る。ちょうど空が綺麗だった。